当期税金と繰延税金は、何が違いますか?

当期税金は、当期の課税所得などに基づいて計算する税金です。一方、繰延税金は、会計と税務の違いなどが将来の税負担に及ぼす影響を、決算に反映するものです。

ここでは、米国会計基準(ASC 740)における基本的な考え方をご説明します。

当期税金とは何ですか?

当期税金(Current Tax)は、税法に従って当期の課税所得や税額控除などを計算し、納付または還付される税額に対応するものです。

ただし、当期税金費用と、その年に実際に支払った税金は必ずしも一致しません。 予定納税や前年分の精算などがあるため、費用として認識する時期と、現金を支払う時期が異なることがあります。参考:FASB「Income Taxes — Topic 740」の開示例

繰延税金とは何ですか?

繰延税金(Deferred Tax)は、資産・負債の会計上の金額と税務上の金額の違いや、繰越欠損金などから生じる将来の税効果を反映するものです。

例えば、設備の減価償却を税務上は会計より早く進めた場合、当期の税負担は小さくなりますが、将来利用できる税務上の控除額は少なくなります。この将来の影響が、繰延税金負債につながることがあります。

一方、将来の税負担を減らす効果は、所定の要件に従って繰延税金資産として計上します。参考:SEC掲載の税効果会計に関する会計方針の開示例

繰延税金は、税務署から納税の延期を認めてもらう制度ではありません。 将来の税効果を財務諸表に反映する会計処理です。

数字で見ると、どう違いますか?

説明のため、次の単純なケースを考えます。

  • 会計上の税引前利益:100,000ドル
  • 税務上の減価償却が会計より多い金額:20,000ドル
  • 課税所得:80,000ドル
  • 仮定の税率:25%

この場合、当期税金は80,000ドル × 25%で、20,000ドルです。

一方、減価償却の差額20,000ドルについて、将来の税負担への影響として5,000ドルの繰延税金負債を計上します。期首残高がなく、その全額を当期の費用とする場合、税金費用の合計は次のようになります。

区分金額
当期税金費用20,000ドル
繰延税金費用5,000ドル
税金費用の合計25,000ドル

※25%は説明用の仮定であり、実際の米国税率ではありません。税率は一定とし、州税、税額控除、永久差異などは考慮していません。この例は、当期税金と繰延税金を分けて考えるためのものです。

決算では、何を確認しますか?

法人税申告に基づく当期税金に加えて、主に次を確認します。

  • 会計と税務の一時差異、およびその解消時期
  • 繰越欠損金・税額控除の残高と利用制限
  • 将来の税効果の計算に用いる、成立済みの税法・税率
  • 繰延税金資産の実現可能性と、評価性引当額の必要性

米国会計基準では、繰延税金資産の一部または全部を実現できない可能性が50%を超える場合、その部分について評価性引当額を設定します。参考:SEC掲載のASC 740に関する会計方針の開示例

当事務所のサポート

当事務所では、法人税申告と決算資料の整合性を確認し、当期税金・繰延税金の計算、一時差異の整理、評価性引当額の検討などを支援します。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な処理は、適用する会計基準、税法、会社の状況によって異なります。

情報確認日:2026年10月15日