税効果会計とは、会計上の利益と税務上の所得の違いから生じる、将来の税金への影響を財務諸表に反映する会計処理です。
会計と税務では、収益や費用を認識する時期や取扱いが異なるため、決算書の利益に税率を掛けた金額と、税務申告で計算した税額は必ずしも一致しません。税効果会計では、こうした違いを整理し、将来の税負担への影響を「繰延税金資産」や「繰延税金負債」として計上します。
どのような場合に違いが生じますか?
例えば、次のような場合です。
- 減価償却: 設備などの取得費用を、会計と税務で異なる方法や期間により費用化する場合
- 引当金・未払費用: 会計では費用を計上していても、税務では将来の支払時などに控除が認められる場合
- 繰越欠損金: 税務上の損失を、一定の条件や制限のもとで将来の課税所得と相殺できる場合
会計と税務の違いのうち、将来解消するものを「一時差異」といいます。一方、将来も税務上の控除が認められない費用などの「永久差異」は、原則として繰延税金資産・負債を生じさせません。参考:FASB「Income Taxes — Topic 740」
繰延税金資産・負債とは何ですか?
繰延税金資産は、一時差異や繰越欠損金などにより、将来の税負担が減る効果を表します。ただし、計上すれば現金が還付されるという意味ではありません。
繰延税金負債は、一時差異により、将来の税負担が増える効果を表します。
例えば、設備について税務上の減価償却を会計より早く進めた場合、当期の課税所得は少なくなりますが、その後の税務上の控除額は少なくなるため、繰延税金負債が生じることがあります。
米国会計基準では、将来その差異が解消する時期に適用される、成立済みの税法・税率に基づいて計算します。参考:FASB「Statement No. 109の概要(ASC 740の前身)」
赤字でも繰延税金資産を計上できますか?
税務上の欠損金があっても、その税効果を全額資産として残せるとは限りません。
米国会計基準では、将来の課税所得や欠損金の利用制限などを検討し、繰延税金資産の一部または全部を実現できない可能性が50%を超える場合、その部分について評価性引当額(Valuation Allowance)を設定します。参考:SEC掲載のASC 740に関する会計方針の開示例
法人税申告書の作成とは違いますか?
法人税申告では、税法に従って課税所得や納付税額を計算します。
一方、米国会計基準の税金費用の計算(Income Tax Provision)では、当期税金費用に加えて、繰延税金費用・利益などを計算し、財務諸表に反映します。そのため、法人税申告書を作成するだけで、決算上の税金計算がすべて完了するとは限りません。参考:FASB「Income Taxes — Topic 740」
日本の親会社への決算報告が必要な場合は、米国側の計算に加え、親会社が採用する会計基準や連結決算上の方針との整合性も確認します。
当事務所のサポート
当事務所では、法人税申告と決算資料の整合性を確認しながら、一時差異の整理、繰延税金資産・負債の計算、評価性引当額の検討など、税効果会計に関する業務を支援します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な会計処理は、適用する会計基準、税法、会社の状況によって異なります。
情報確認日:2026年10月15日

