米国事業を終了する場合、最後の申告で何を確認しますか?

米国事業を終了する際は、最終の所得税申告に加え、資産・負債の精算、親会社への資金移転、給与税、州の登録終了などを確認します。

営業を停止した日、清算が完了した日、法人を解散した日は、必ずしも同じではありません。「事務所を閉めた」「銀行口座を解約した」という理由だけで、すべての申告義務が終了するわけではありません。

1. 事業形態と最終申告の対象期間

米国現地法人、日本法人の米国支店、LLCなど、税務上の区分に応じた最終申告書を確認します。

未回収の売掛金、残っている資産、清算中の取引なども整理し、どの年度を最終申告とするか、短期課税年度となるかを判断します。該当する申告書には「Final Return」の表示を行います。

参考:IRS — Closing a Business

2. 解散・清算に伴う届出

法人が解散や株式の清算に関する決議・計画を採択した場合、例外を除きForm 966の提出を確認します。通常、採択後30日以内の提出が必要なため、最終申告書の準備まで待たずに確認することが大切です。

参考:IRS — Form 966 and Instructions

3. 資産の処分と親会社・株主との精算

在庫、設備、敷金、売掛金、借入金などの残高を整理します。資産の売却・現物分配、債権放棄、債務免除、残余財産の分配には、それぞれ税務上の検討が必要です。

日本の親会社との貸付・借入、未払費用、立替金なども照合します。会社の清算と株主への分配では、会社側と株主側の双方に税務上の影響が生じる場合があります。

参考:IRS — Publication 542: Corporations

4. 支店利益税や情報申告

日本法人の米国支店を閉鎖する場合は、Form 1120-Fと支店利益税などを確認します。事業終了時の特例には条件があるため、閉鎖すれば自動的に非課税になるとは限りません。

また、Form 5472などの情報申告も確認します。外国所有の米国Disregarded Entityでは、解散に伴う出資者への分配なども報告対象となる場合があります。

参考:IRS — Instructions for Form 1120-F、IRS — Instructions for Form 5472

5. 最終給与と給与税

最終給与、賞与、退職に伴う支払を整理し、源泉徴収・納付、最終の給与税申告、Form W-2などを確認します。給与台帳の保管担当者と連絡先も決めておきます。

参考:IRS — Closing a Business: Employees and Employment Taxes

6. 州・地方の申告と登録終了

法人所得税、売上・使用税、給与税などについて、関係する州・地方の最終申告と登録終了手続きを確認します。

税務申告と、州の会社登記上の解散・撤退手続きは別です。例えばカリフォルニア州では、税務当局とSecretary of Stateの双方の手続きを確認します。

参考:California FTB — Closing a California Business Entity

7. 申告後の連絡・還付・記録保管

閉鎖後も税務通知や還付が届く場合があるため、郵送先、連絡担当者、還付の受取方法を整理します。必要な申告・納付を終えたうえで、IRS事業用アカウントの閉鎖手続きも確認します。

銀行口座の解約時期は、残る支払や還付の見込みと合わせて判断します。帳簿・申告書・清算資料は、事業終了後も必要な期間保管します。

ご相談前に準備しておくとよい資料

  • 事業終了・解散・清算の予定と決議書
  • 過年度の連邦・州の申告書
  • 最新の試算表と資産・負債の明細
  • 親会社・関連会社との残高資料
  • 資産売却・残余財産分配の計画
  • 最終給与と従業員の退職予定
  • 州の登録一覧、税務通知、未納税額

当事務所では、事業終了のスケジュールと取引内容を確認し、必要な税務申告と対応範囲をご案内します。解散決議や資産分配の前にご相談いただくと、期限と税務上の影響を整理しやすくなります。

お問い合わせ

本回答は一般的な情報提供を目的としています。事業体区分、清算方法、所有関係、関係する州などによって取扱いが異なります。会社法上の解散・清算手続きは、必要に応じて法律専門家と連携して確認します。

情報確認日:2026年10月15日