現地法人と支店では、税務上どのような違いがありますか?

主な違いは、米国で別の法人を設立して事業を行うか、日本法人自身が米国で事業を行うかという点です。この違いにより、納税主体、申告書、利益の移転に伴う課税などが異なります。

ここでは、米国で通常の法人課税を受ける現地法人と、日本法人の米国支店を比較します。LLCは税務上の分類によって取扱いが異なります。

1. 納税主体と申告書

項目米国現地法人日本法人の米国支店
事業を行う主体日本の親会社とは別の米国法人日本法人自身
代表的な連邦申告書Form 1120Form 1120-F
基本的な課税範囲米国法人の全世界所得米国事業と実質的に関連する所得など。租税条約の適用も確認

支店の場合、日本法人が外国法人として米国の申告を行います。支店名で帳簿を作っていても、独立した米国法人になるわけではありません。

参考:IRS — Instructions for Form 1120、IRS — Instructions for Form 1120-F

2. 支店では、恒久的施設と利益の帰属が重要です

日本法人が日米租税条約の適用を受ける場合、米国内の恒久的施設(Permanent Establishment/PE)の有無と、そこに帰属する事業利益を確認します。

「支店」「駐在員事務所」という名称だけで決まるものではありません。実際の業務、拠点、契約に関する活動などを確認します。

条約により事業利益が非課税になると考えられる場合でも、申告や条約適用の開示、防御的申告(Protective Return)の要否を検討します。

参考:IRS — Instructions for Form 1120-F

3. 利益の送金に関する課税が異なります

現地法人から日本の親会社へ配当する場合、米国の源泉徴収と日米租税条約による軽減・免除の適用を確認します。

支店から本店への資金移動は、別法人への配当とは異なりますが、米国では支店利益税(Branch Profits Tax)が課される場合があります。これは実際の送金額だけで決まるものではなく、税引後利益や米国事業への投資額の増減などに基づいて計算します。

いずれも、条約上の資格や適用条件の確認が必要です。

参考:IRS — Publication 515、IRS — Instructions for Form 1120-F

4. 親会社・本店との取引の整理が異なります

現地法人では、日本の親会社との商品売買、業務委託料、管理料、貸付・借入などを、別法人間の取引として整理します。

支店では、本店と支店が同じ法人であることを踏まえ、支店に帰属する収益・費用や本店費用の配賦などを確認します。社内で計上した金額が、そのまま米国税務上認められるとは限りません。

また、所有関係や取引内容によっては、Form 5472などの情報申告も確認します。

参考:IRS — Instructions for Form 5472

5. どちらが有利かは、事業計画によって異なります

税率だけでなく、事業内容、利益の見込み、資金調達、利益送金、日本側の課税、州・地方税、管理負担などを合わせて検討します。法的責任や契約上の違いについては、法律面の確認も必要です。

当事務所では、事業形態と取引内容を確認し、米国で必要な税務申告と対応範囲をご案内します。

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本回答は一般的な情報提供を目的としています。具体的な取扱いは、税務上の事業体区分、条約適用資格、事業活動、対象年度などによって異なります。

情報確認日:2026年10月14日