グロスアップ計算とTax Equalizationは、何が違いますか?

グロスアップ計算は、所定の手取り額を確保するための「計算方法」です。一方、Tax Equalization(税負担調整制度)は、海外赴任に伴う会社と従業員の税負担を調整する制度です。

両者は関連していますが、同じものではありません。

グロスアップ計算とは何ですか?

グロスアップ計算は、会社が負担する税金も考慮し、税金控除後に所定の金額が残るよう、税引前の給与額を逆算するものです。

会社が従業員の所得税を負担すると、その負担額自体も原則として従業員の課税所得になるため、その追加税額まで考慮する必要があります。参考:IRS「Determining Employment Tax Liability」

例えば、手取り額を10,000ドル、適用税率を一律25%と仮定すると、次の計算になります。

税引前給与:10,000ドル ÷(1 − 25%)= 約13,333ドル

税額約3,333ドルを差し引くと、手取り額は10,000ドルです。

※説明用の簡略例です。実際には累進税率、連邦・州・地方税、社会保障税、各種控除などを考慮します。また、給与からの源泉徴収額と最終的な申告税額は一致しないことがあります。参考:IRS「グロスアップ計算を含む給与源泉徴収の例」

Tax Equalizationとは何ですか?

Tax Equalization(税負担調整制度)は、一般に、海外赴任がなかった場合に本人が負担していたと想定される税額を基準として、赴任による税負担の増減を調整する制度です。

日本から米国への赴任では、日本に勤務し続けていた場合の税負担を基準とすることがあります。この想定税額を「仮想税額(Hypothetical Tax/Hypo Tax)」といいます。

一般的な仕組みでは、本人は仮想税額を負担し、会社は制度の対象となる実際の税金を負担します。その後、申告結果や確定した報酬情報などに基づいて精算します。仮想税額は会社との調整に用いる金額であり、それ自体が税務当局への実際の納税額になるわけではありません。参考:IRS「Tax EqualizationとHypothetical Taxを扱うメモランダム」

両者は、どのように関係しますか?

項目グロスアップ計算Tax Equalization
位置付け給与・税額の計算方法会社と本人の税負担を調整する方針
主な目的所定の手取り額を確保する海外赴任による税負担の増減を調整する
主な確認事項課税給与、税率、控除、会社負担税額仮想税額、対象所得・税金、精算ルール
両者の関係制度を実行するために使うことがある計算の前提となる負担ルールを定める

Tax Equalizationに基づき会社が税金を負担する場合、その会社負担分を給与に反映するため、グロスアップ計算が必要になることがあります。

一方、賞与や赴任手当だけをグロスアップし、Tax Equalizationは導入しない運用もあります。

会社の規程では、何を確認しますか?

実際の負担範囲や精算方法は、会社の規程・契約によって異なります。特に次の点を明確にしておくことが大切です。

  • 給与、賞与、赴任手当のうち、何を対象とするか
  • 配偶者の所得、投資所得、不動産所得などをどう扱うか
  • 所得税、州・地方税、社会保障税などをどこまで含めるか
  • 還付金や外国税額控除の効果を、会社と本人のどちらに帰属させるか
  • 赴任・帰任年度や、帰国後の追加納税・還付をどう精算するか

給与計算を始める前に、会社と本人の負担ルールを確認することが重要です。 税務申告と会社・本人間の精算は、それぞれ分けて整理します。

当事務所のサポート

当事務所では、会社の規程や報酬条件を確認し、駐在員のグロスアップ給与計算、給与処理、給与税申告、個人所得税申告の整合性を確認しながら支援します。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な取扱いは、会社の規程・契約、適用税法、本人の状況によって異なります。

情報確認日:2026年10月15日