はい。駐在員事務所でも、活動内容によって米国で申告が必要となる場合があります。「売上がない」「日本本社から運営費を受け取っている」という理由だけで、申告不要とは判断できません。
連邦法人所得税、州・地方税、給与税などを分けて確認することが重要です。
1. 名称ではなく、実際の活動を確認します
「駐在員事務所」は、名称だけで税務上の扱いが決まる区分ではありません。
日本法人の一部として運営している場合は、日本法人が米国内で事業を行っているかを確認します。別の米国法人を設立している場合は、その法人の申告義務を確認します。
具体的には、市場調査、情報収集、顧客対応、販売活動、契約交渉・締結、サービス提供など、実際に行っている業務を整理します。
2. 日米租税条約上の恒久的施設を確認します
日本法人が条約の適用を受ける場合、米国に恒久的施設(Permanent Establishment/PE)があるか、そのPEに帰属する事業利益があるかを確認します。
専ら情報収集や準備的・補助的な活動を行う拠点については、所定の条件でPEに該当しない場合があります。ただし、「市場調査」という説明だけでは判断できず、実際の業務内容や企業全体の事業との関係が重要です。
参考:IRS — U.S.–Japan Tax Treaty Technical Explanation, Article 5
3. 納税額がなくても、申告が必要な場合があります
日本法人が米国内で事業を行っている場合、条約によって事業利益が免税となっても、Form 1120-Fなどの提出が必要となることがあります。
また、米国で課税される事業所得やPEがないと判断する場合にも、防御的申告(Protective Return)を確認します。これは、後に判断が異なるとされた場合に、経費控除・税額控除を受ける権利を保全するための申告です。条約適用の開示書類であるForm 8833も確認します。
参考:IRS — Instructions for Form 1120-F
4. 給与税と駐在員個人の申告は別に確認します
法人所得税が発生しない場合でも、従業員の給与に関する源泉徴収、納付、給与税申告、給与報告などが必要となることがあります。
会社側の給与手続きと、駐在員本人の個人所得税申告も別の手続きです。日本払い給与を含む報酬全体と、会社の税負担方針を整理します。
参考:IRS — Depositing and Reporting Employment Taxes
5. 州・地方の義務も確認します
連邦税や租税条約の判断だけで、州・地方の申告要否は決まりません。拠点、従業員、事業活動などに応じて、関係する州の登録・申告義務を確認します。
例えばカリフォルニア州では、事業活動や売上・資産・給与などに基づく確認が必要です。
参考:California FTB — Doing Business in California
ご相談前に整理しておくとよい情報
- 日本法人の情報と米国拠点の開設日
- 事務所の所在地、従業員数、各人の担当業務
- 顧客対応、販売、契約交渉・締結の実態
- 日本本社と米国拠点の役割分担
- 売上・費用・本社送金・給与の記録
- EIN、州の登録、過年度の申告状況
当事務所では、拠点の活動内容を確認し、必要な税務申告と対応範囲をご案内します。初回のお問い合わせには概要のみをお知らせください。
本回答は一般的な情報提供を目的としています。申告要否は、法的形態、活動内容、条約適用資格、関係する州、対象年度などによって異なります。
情報確認日:2026年10月15日

