原則として、会社が従業員の個人的な生活費を負担した場合、その利益は給与として課税対象になります。 ただし、業務上の経費精算や、税法上の非課税要件を満たす福利厚生などには例外があります。
「住宅手当」「赴任手当」「福利厚生費」といった名称だけでは判断できません。支出の内容、利用目的、支給・精算方法を確認する必要があります。参考:IRS「Publication 525」
会社が家賃を直接払っていても課税されますか?
通常の駐在員住宅については、会社が家主へ直接家賃を支払っていても、原則として従業員への課税対象になります。
本人に現金を渡していないことや、会社名義で契約していることだけで、非課税になるわけではありません。
社宅の非課税規定には、原則として、会社の事業施設内で提供されること、会社の業務上の必要によること、職務遂行のため入居が必要であること、という要件があります。通常の赴任先のアパートが、自動的にこれらの要件を満たすわけではありません。参考:IRS「Publication 15」
各種手当は、どのように扱いますか?
一般的な米国連邦税の取扱いは、次のとおりです。
| 支給・負担の内容 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 住宅手当、通常の住居費・光熱費 | 原則として課税対象 |
| 海外勤務手当、生活費補助手当 | 原則として課税対象 |
| 子どもの学費補助 | 通常は課税対象 |
| 一般の従業員の引越費用負担 | 原則として課税対象 |
| 社用車の私用部分 | 原則として課税対象 |
| 業務出張費の適切な精算 | 要件を満たせば給与から除外可能 |
| 適格な医療保険などの福利厚生 | 個別の非課税要件を確認 |
引越費用については、会社が実費を精算した場合でも、一般の従業員は原則として課税対象です。社用車については、業務利用と私用を区分し、記録を残すことが重要です。参考:IRS「Publication 15-B」
実費精算なら、非課税になりますか?
実費精算であるだけでは、非課税にはなりません。
業務経費の精算を給与から除外するためには、Accountable Planの要件を確認します。主な要件は次の三つです。
- 税務上認められる業務関連の経費であること
- 合理的な期間内に、金額や業務目的などを会社へ報告すること
- 仮払金などの余剰額を、合理的な期間内に返還すること
個人的な住居費を領収書付きで精算しても、それだけで業務経費に変わるわけではありません。参考:IRS「Publication 463」
短期滞在中のホテル代も課税されますか?
業務出張に該当する滞在であれば、宿泊費などを給与から除外できる場合があります。ただし、税務上の活動拠点である「Tax Home」、滞在の目的、勤務期間の見込みなどを確認します。
滞在期間が短いという理由だけで、非課税になるわけではありません。 通常の生活拠点となる住宅費と、業務出張の宿泊費は分けて判断します。参考:IRS「Publication 463」
会社が税金も負担する場合はどうなりますか?
課税対象となる住宅費や手当について、会社が本人の税金も負担する場合、その会社負担税額も原則として追加の課税所得になります。そのため、所定の手取り額を確保するには、グロスアップ計算が必要になることがあります。参考:IRS「Determining Employment Tax Liability」
日本側で支給・負担した金額も含め、米国で課税対象となる報酬を把握し、給与計算、Form W-2、個人所得税申告の整合性を確認することが大切です。州税や社会保障税については、それぞれのルールも確認します。
当事務所のサポート
当事務所では、駐在員の住宅費・各種手当の内容を確認し、課税対象となる報酬の整理、グロスアップ給与計算、給与処理、給与税申告、個人所得税申告を支援します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な取扱いは、支給内容、勤務状況、適用税法によって異なります。
情報確認日:2026年10月15日

